経営承継円滑化法に規定されている金融支援を受ける為には、都道府県知事から認定を受けることが必要になります。
ここでは認定を受ける為の要件について解説していきます。
要件は認定を受ける方が会社、個人事業主、事業を営んでいない個人なのかによって違いがあります。
本ページでは認定を受ける方が個人事業主の場合について説明させていただきます。
個人事業主の場合には、先代経営者(他の個人事業主)の方の死亡または、その営んでいた事業の譲渡により事業承継をする際に、以下の要件に該当していることが必要になります。
後継者の方が既に事業の経営者となっている場合
具体的には以下のような場合です。
・先代経営者の方が死亡したことによる、相続に伴い後継者以外の相続人の方に株式等や事業用資産が分散した場合
・先代経営者の方が死亡または退任したことにより、先代経営者と友好的であった方が株式等や事業用資産の売却を希望している場合
・後継者の方に対する貸付金の弁済や未払だった給与の支払を急遽求められた場合
以上のような場合で、後継者の方が資金を必要としていることが要件になります。
経営者の方の交代により取引先からの信用力が低下することも考えられます。
具体的な基準として、前年同期の3ヶ月間と比較して、同期中の売上高等が 80%以下に落ち込むことが見込まれることとしています。
経営者の方の交代により、仕入先から不利益となる取引条件を設定されることも想定されます。
具体的には、申請者の方の仕入額の総額の20%以上の仕入額を占める仕入先から、支払サイトを短縮されるなどの取引条件変更をされた場合などが該当します。
※取引先に信用を供与することで、商品や製品を納品した後、またはサービスを提供した後に代金を受領する取引のこと。
経営者の交代により取引先金融機関からの信用力が低下したため、取引先金融機関からの借入れが困難になる場合もあります。
具体的には、申請者の借入金額の総額の 20%以上の借入金額を占める取引先金融機関からの借入れにおいて、返済期間の短縮、貸付金利の上昇、借入金額の減少や与信取引の拒絶などをされるなど取引に支障が生じている場合です。
・先代経営者の方からの相続にあたって、遺産に事業用資産が含まれる場合に、後継者の方がこれらの資産を取得するために、非後継者の方にその代償として金銭を支払うこと。
・先代経営者の方からの相続にあたって、事業用資産を相続や遺贈または贈与により取得したことによって、非後継者の方の遺留分を侵害してしまい、遺留分減殺請求を受けた場合に、非後継者の方にこれらの資産を返還する代わりに金銭を支払うこと。
他の中小企業者から事業の経営を承継する個人事業主の場合
金融支援を受けようとする時点で、事業の経営者の交代が生じておらず、後継者の方がこれから承継を行う場合について、ご説明させていただきます。
個人事業主の方が、他の中小企業者を買収して承継しようとする場合については、大きく分けて、承継される中小企業者に関する要件と、資産の承継に関する要件があります。
1.承継される中小企業者に関する要件
・中小企業者の役員または親族の中に、後継者候補となる方がいないこと
・中小企業者における経営者の方が、その健康状態、年齢その他の事情により、継続的かつ安定的に経営を行うことが困難であること
2.資産の承継に関する要件
経営の承継に不可欠な資産を承継する見込みであることが必要になります。
「経営の承継に不可欠な資産」とは以下のような資産をいいます。
・承継する際に取得する承継される中小企業者の株式※1
・事業譲渡を受けて承継する場合の、承継される中小企業の事業資産※2 等
※1ここでは承継される中小企業者の議決権の過半数を超える議決権を保有することになる数の株式のことをいいます。
のことをいいます。
※2工場用の土地や建物といった不動産、機械などの動産のことをいいます。
以上が金融支援に関する、都道府県知事の認定要件(個人事業主編)です。
認定を受けるには、一定の要件を満たす事が必要になります。